【対談】
ANDROSOPHY×高橋秀人(後編)
男性の育児が当たり前になる社会を目指す──そんな思いのもと、私たちANDROSOPHYは男性でもスタイリッシュに着こなせるベビーキャリア(抱っこ紐)やスマート育児バッグ「ペアレンツバッグ」などの育児用品を展開しています。
とはいえ、日本における「男性の育児参加」はまだまだ課題が多い状況。どうすれば、男性の育児が当たり前になる社会を実現できるのでしょうか?
高橋秀人さんとの対談内容の後編をお届けします。
商品やサービスを通じ「男性の意識」を変えていく
──日本の文化において、育児の課題をどう解決していくべきでしょうか?
山田:私たちのようなモノづくりのメーカー・ブランドが「育児休暇」のような制度を変えていくことは難しいと思っております。だからこそ、モノづくりのメーカー・ブランドが持つ技術で、率先して育児をしたいと思うような商品やサービスを提供し、それによって男性側の育児に対する意識を変えていくことが重要と考えております。
私自身もANDROSOPHYを立ち上げる前は、自分の娘のために某有名ブランドの抱っこ紐を使っていました。ただ、それは紫の水玉模様だったこともあり、着用するのが嫌だった、という記憶があります。柄が派手なのでどうしても恥ずかしい。。。
男性が着用してもカッコよく、男性が使いたいと思う育児用品を作る。それによって男性が率先して育児をする「環境」を作っていくべきだと考えています。
高橋:抱っこ紐に関しては、今までどうしても「ダサく見えてしまうのではないか」という思いもありました。ただ、ANDROSOPHYの抱っこ紐はすごくスタイリッシュで、洋服ともマッチするので、自然体で着用することができました。
山田:ありがとうございます。せっかく育児をするのであれば、嫌々やるのではなく、「自分が欲しい育児用品を自分で買いに行く」くらいの気持ちでやっていただきたいですね。
洋服であれば、自分が似合うものを自分で選んで買うはずなのに、育児用品はお母さんに任せてしまう。そうではなく、お父さんにも似合うものを選ぶような育児の世界を作っていけたらと思います。そうすることでお母さんの育児の負担も減るはずです。カッコいい育児用品はあまりないからこそ、それをどうやって作るかを常に考えています。
かっこよくて、軽い
高橋:カッコいい育児用品、というのはすごく良いコンセプトですね。実際、自分がカーキ色の抱っこ紐を見た第一印象は、「かっこいいな」でした。また、実際に着用したときに「すごく軽いな」と思いました。最初は「こんなに軽くて子どもを抱っこできるのか」という不安もあったのですが、着用してみたらフィット感よく安心感もあり良かったです。
山田:開発にあたって一番こだわっていたのは、「抱っこ紐をつけてカッコいいお父さんになるためにどうすればいいか」ということです。カッコよさを実現するために当然デザイン性にはこだわりましたし、肩や腰への負担を少なくすることにもこだわりました。
今回、ANDROSOPHYの抱っこ紐には日本のクッションメーカー4社に協力いただいて開発した三層構造のクッション技術が使われています。日本の低反発クッションの技術はとても優れているので、長時間付けていてもお父さんが疲れることはほとんどない仕上がりになっていると思います。それくらいこだわって作りました。
低反発クッションの技術を使うことで、クッション性だけでなく軽さもあり大手メーカーの抱っこより軽量化を実現できました。実際使っていただいたお客様からのレビューもANDROSOPHYの抱っこ紐は「軽い」というお声が目立ちます。
抱っこ紐だけでなく、育児バックも展開
──ANDROSOPHYの抱っこ紐以外の商品についても教えてください。
山田:抱っこ紐以外には、育児バックを作っています。子どもが1人の場合でも、意外と荷物はかさばってしまうんです。特に冬の季節はダウンジャケットを持って行くこともあり、すごくかさばります。容量に換算すると、全部で約14リットルほどの大きめのトートバックが必要になります。ただ、大きいトートバックを持っていくと、すごく使い勝手が悪かったり、見た目が悪かったりしてしまいます。
そうした課題を踏まえ、ANDROSOPHYは大容量なのに見た目がスタイリッシュな育児バックを土屋鞄製造所の職人たちと一緒に作りました。
お父さん、お母さんさんたちにも使っていただきたいと想い『ペアレンツバッグ』と名付けました。すごく好評なのですが、個人的に意外だったのがフットサルの選手が使用されており、「2リットルのスポーツドリンクが5本も入るよ」っていう画像をInstagramに投稿してくださる人もいて。やはり大容量だけど使い勝手がいい、そして丈夫でスタイリッシュに見える、という部分で使用の用途が広がっています。
高橋:たしかにサッカーも荷物は多いので、大容量は使いやすいかもしれません。
また、私の妻はオムツや子どもの水筒3本、自分の財布、手帳などをバッグに詰め込んでいて、スーパーで財布を出そうにも中の荷物を全部出さなければいけない、ということになってしまっていました。そういった意味で、ANDROSOPHYの商品は子どもの荷物を入れてもカッコよく、自分の洋服に合わせて選べることもできるので良いですよね。
山田:すごく嬉しいです。実際に使っていただくと質感などの仕上がりも非常に良いので、「これを使えば育児が楽しくなるだろうな」と想像しながら商品を作っています。
「男性が当たり前に育児に取り組む社会」をつくる
──最後に、今後の「男性の育児」に関して、お二人はどのような未来にしていきたいと考えられていますか?
山田:きっと10年後のライフスタイルはすごく変わっていると思います。目先の育児の課題や人々が抱えてる問題を解決する育児製品を作っていくことと、もう一方で、ANDROSOPHYは「10年後のライフスタイル」を大事にしています。
10年後のライフスタイルを想像し、どのようなサービスがあればライフスタイルがもっと良くなるのか。そんなことを考えながら、商品開発やサービス開発を行っています。
商品を出すだけではなく、10年後のライフスタイルをどのように作っていくのか。また、世の中が変わるのを待つのではなく、自分たちから男性の育児のスタンダードを作っていこう。そういうスタンスでANDROSOPHYは成長していこうとしています。
高橋:サッカー選手は周囲の人たちから憧れの目で見られることも多い職業です。一般の人たちはサッカー選手に対して「夢を叶えた」「挫折を乗り越えた」「厳しい競争環境の中で生き残った」といったイメージを持っていると思っています。
ただ、サッカー選手だけでなくアスリート全般に言えることなのですが、競技をするだけではなく、より競技以外の部分にも目を向け、子どもたちに対して「お父さんとしてこういう風に頑張っているよ」ということを社会に示すことができればアスリートの価値ってもっと上がっていくと思います。子どもに関して言えば、本田圭佑選手が帰国する際に子どもを抱っこして空港に現れたことがあったのですが、あれはすごく影響があったと思います。
もちろん、サッカーを一番に頑張らなければいけないもの、サッカー以外の部分、今回であれば男性も育児を頑張っていきましょう、というメッセージも発信していけたらいいなと思っています。「サッカー選手はサッカーだけしてるんじゃないんだよ」ということをもっと見せていきたいなと思います。
山田:高橋さんのようなアスリートの人たちは本当に影響力があると思っています。ANDROSOPHYは男性が育児に率先して取り組むための製品づくりで頑張っていくので、そういった影響力のある人たちと一緒に「男性が当たり前に育児に取り組む社会」を作っていけたらなと思っています。
高橋:自分も本当にそう思いますし、サッカー選手も昔と同じことをやっているだけでは生き残れない世の中になってきていると感じています。こういう発信などを通じて、自分自身の価値を高めていきながら、自然と自分が求められているやりがいや使命のために、愚直にやっていきたいと思います。育児や家事は誰かに自慢するためにやるものではないと思うので、1人の父親として、これから子どもたちとの絆を深めていきたいなと思います。